輪行用のウイングナット(
ウイングハブナット)を手に入れた!
前後輪セットの4ピース(
前輪×2+後輪×2)で600円。所によっては1ピースで1000円を超えるお店もある中、これは安い!
往年のスギノ製で、現在は製造されていないオールドパーツです。ロストテクノロジーともいえるでしょうか。

先日輪行したロードマンを、さらに輪行向きにチューンナップすることができます。当時ものの部品なので、レストア趣味も満喫できます。
ウイングハブナットとは、クイックリリースハブが一般的になる以前、ナット止めのホイールを着脱容易にするため考案された部品です。「ウイング」というのは文字通り翼のような形をしているためで、通常は6角形のナットをスパナ使用で締め付けたり緩めたりするところ、道具なしで行えるように取っ手を付けたものです。ランドナーやキャンピングなどの旅行車・輪行車でよく使用されたほか、昔のロードレース界でもホイール付け替え(
パンク時の車輪交換のほか、変速機が普及する以前はギヤ比を変えるため車輪の両側に直径の異なるスプロケットをつけ、裏返すことで変速する構造だった)に使用されました。
「
カガワの自転車 清ちゃんのオーバーホール日記」によると、安全のため自転車に突起のあるパーツを付けてはならないというアメリカの規制によってウイングナットが衰退したともいわれていますから、今になって手に入れるとすれば70年代の当時ものしかないと思われます。
手で締め付けるため力不足でナットが緩む場合があるので、素人にはお勧めできないパーツのひとつともいわれますが(
先述したスポーツサイクルいちかわや長谷川自転車商会などでは、安全に関わる箇所にも関わらず緩むパーツためお勧めできない…と言われました/汗)、輪行の際はナットだけのためにスパナを持ち運ばなければならない不便さがあります。運搬の際、スパナ分の重量が増えるのは結構な問題だったりしますし、自転車用工具としては大きめなので、迂闊に荷造りすると一緒に入れた荷物や買物したアイテムなどを傷つける恐れがあるのです。
その代わり頻繁に緩みをチェックしなければなりませんが、安全のためには当然といえるでしょう。
今でも珍しいパーツが手に入るお店でしたが、購入したお店は…伏せさせていただきます。100個ぐらいのウイングナットを天井に吊ってあったので在庫は潤沢と思いますが、とある事情がありそうなので。
というのも、本当はなくしたときの予備も含めて複数購入しようと思っていたのですが、1セット分しか売ってもらえなかったのです。
店主いわく「多くの人に使ってもらうため、1セットで我慢して欲しい」とのこと。
こういう理由を付ける場合、昔気質で常連客優先として「いちげんさん」に近い人にはあまり売らないという場合のほか、「痛い目」に遭っている場合があります。
「痛い目」というのは、ネットオークションなどで転売して利ざやを儲けるため大量購入する人に、在庫を食い荒らされることです。
本来は良心的な価格で提供していたところ、安く売ったばかりに転売屋がみんなさらっていってしまうものです。
実際のところはどうだったのか分かりませんが、ネット転売が容易な時代であり、同じ品物を幾つも買っていくという行為は警戒されても仕方ないのでしょう。なんと言うか、海外旅行の際に、同じ品物を幾つも持って入国しようとしたら、輸出入にあたるとみなされて税関で止められることがあるのに似ているでしょうか。
東京の吉祥寺にある「歌川模型」は昭和中盤で時代の止まったような、科学教材と鉄道模型で占められている古典的模型店ですが、ブリキ玩具やカツミなどの交流3線Oゲージなどが今でも手に入る店としてマニアなどの一部で知られていました。しかし近年に先代の店主が亡くなってから、転売目的と思しい客に目ぼしい品物の大半を買い占められてしまい、品揃えがかなり縮小したといわれています。店主が亡くなってから、引き継いだ人が品物価値を見極めにくい状況を逆手にとったものといわれています。もしかすると店主の逝去で閉店になるのではないかと危惧されて、古典模型や歌川模型オリジナル製品が買い漁られた面もあるでしょう。この件があって以来、店頭価格を倍などに大幅値上げしたり、あえて値札を貼らないなどして「防衛」することになったといい、コレクターの間では残念がられています。
自転車でも、ランドナー用パーツなどは絶版品なのでロストテクノロジー的な側面が強く、買い占められてしまうと数少ないパイを奪われることになり、需給の関係を崩す要因となりえます。
「1人1セット」というのも、ある意味で当然の措置である気もします。
スペアパーツをいくつか確保したい心理は、考えて見れば使い捨て時代の消費的発想です。大量生産・大量消費の時代にあって「モノを大切に使う」という考えが失われつつある中、結構大切なことを改めて認識することにもなった気がします。
このウイングナットはアルミ製なので、ネジがかじったりして消耗する可能性も高く、大切に扱ったとしてもある程度の限界があるとも思います。
そうなったら、またお店に行って1セット買ってくれば良いのでしょう。
theme : 自転車
genre : 趣味・実用